あまり知られていない、個人的ベスト映画7選
最近、映画好きの友達が増えて、自分の中で映画熱がちょっと再発気味で、その人たちに自分の好きな映画を紹介する意味も込めて、「『プレイリスト』みたいなもの作るかぁ」と思い立って、選んでみた。
選出の条件は、
①あまり知られていない。
『「映画なんてあんまり観ないなぁ」って人でも知ってる有名作』は除いてます。もちろん、そういう有名作でも大好きな作品はたくさんあります。
※『千と千尋の神隠し』等のジブリ映画、『サマーウォーズ』等の細田守映画、『トイ・ストーリー1~3』、『バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ』、等々。
②1回でも、僕が観ている。
当然、観ていない映画はレビューできません。今から挙げる映画は、1回でも観ています。逆に言えば、1回しか観てない映画もある。
レビューはCinema Scapeを参考にしています。小難しい単語とか、よくわからないから、思ったことだけを書いていきます。なお、あらすじはすべて省きます。
では、早速始めていきます。
1.素晴らしき哉、人生!(アメリカ、1946年)
今までいろんな映画観てきたけど、その中でも一番好きだ。
70年前の映画であって、映画の完成形で、これ以上ない究極のハッピーエンド。
もしも『僕』がそこにいなかったら? 誰かが悲しむのかもしれない。誰かが困るかもしれない。それは分からないけれど、もしも『キミ』がそこにいなかったら、今ここにいる僕は悲しいし、すごく困ることになるぜ。
自分は一番身近な他人。
自分にやさしくできたとき、きっと誰かにもやさしくできるはずだ。
世界で一番好きな映画。
クリスマスの日に、絶対観てほしい。
監督はフランク・キャプラ。この人の映画は他に、『或る夜の出来事』もすごくおもしろい。
●評価●
4.3(Cinema Scape)
4.51(Yahoo!映画)
2.ぐるりのこと。(日本、2008年)
日本の映画で一番好き。
『誕生』と、『崩壊』と、そして『再生』の物語。
って書くと、なんだか神話的で、すごくスケールの大きい話のように思えるかもしれない。だけど、それらはすごく原始的で、古代からこの世界のどこにでもあふれていて、誰のもとにも平等に与えられてきたものだ。
生き物はみんな、子孫を残して、何百年も何千年も繁栄してきた。人間も同じだ。だけどみんながそうやっているのに、というかできているのに、できない人がいる。
子供を産めない人がいる。子供を育てられない人もいる。子供が欲しいけれど、作れない人もいる。
そういう人たちは、『みんなができること』ができない人として、同情されたり冷遇されたりする。社会的マイノリティだとレッテルを貼られることもある。
だけど、それがどうしたっていうんだろう?
夫婦でしか生み出せないものは、多くの場合は『子供』なのだろうけれど、でも、そうじゃない場合があってもいい。
たしかに生き物にとって子孫を残せない(残さない)ことは致命的だし、社会にとってそれは非合理的なのかもしれない。一部の人にとっては、許せないことかもしれない。
だけど、できないものはできない。
そのかわり、そういう人たちにしかできないものもある。
致命的だとしても、非合理的だとしても、認めてもらえなくても、そういう人たちが自分たちにしかできないものを見つけて、一生懸命がんばって、生み出して、育てて、磨き上げたものは、美しいし、素敵なんだ。
監督は橋口亮輔さん。新作が11月14日に公開されます。
●評価●
4.0(Cinema Scape)
4.13(Yahoo!映画)
3.ハッシュ!(日本、2001年)
同じく橋口亮輔さんの映画。
同性愛者の人って、なんであんなに輝いて見えるんだろう? っていつも思う。
下ネタを言うつもりはないけれど、一般的に男性は、性行為において、女性の膣内に射精して、快楽と伴って満足感を得る。だけど、ゲイカップルはそれができない。
それは生物として、男として、すごく悲しいことだなぁと僕は思う。だけどゲイカップルたちは、そういった悲しさを全然感じさせない。あの人たちの『生きる強さ』はどこからあふれてくるんだろう?
橋口亮輔さんは、この映画でも、『ぐるりのこと。』と同じく、『みんなができること』ができない人たちにフォーカスを当てている。
そういった人たちには、そういった人たち特有の『生きる強さ』がある。
とりわけ同性愛者のカップルには、それが顕著に見られると思う。
いきなりだけど、ボウリングのシーンが好き。
●評価●
4.0(Cinema Scape)
4.28(Yahoo!映画)
4.初恋のきた道(中国、1999年)
ひとりの人を想い続けるって、なんて素敵なことなんだろう?
この映画はとてもシンプルだ。……シンプルのように見えて、すごく批評性があるらしいけれど、頭の悪い僕はそれに気が付かないし、でも、それでいいと思ってる。
僕らの世界は、いろんなものがあふれていて、いろんなものに自分たちを試していかないと、本当に気持ちが通じているのか不安になる。
携帯電話やインターネットのおかげで、『言葉』はすぐに伝えられるようになった。遠くにいる人が、身近に感じられるようになった。
けれど、好きな人と手をつないでも、キスをしても、どことなくさびしくなるのはどうしてだろう?
その気になればすぐにでも会えるし、すぐにでも声を聞くことができる。
それは、何十年も昔にはなかったものだ。なのに、時が経つにつれ、時代が進化するにつれ、『好きだ』という気持ちが記号みたいに扱われていく。
誰かを想う気持ちは、好きな人がいなくなったあとも、ずっとずっと持ち続けていたい。そして自分がいなくなるときに、初めてその人のことを好きになった瞬間のことを、ふっと思い出したい。
そんな風に思える映画です。
●評価●
3.9(Cinema Scape)
4.11(Yahoo!映画)
5.遠い空の向こうに(アメリカ、1999年)
――Based on a true story。
実際にあったことをテーマにした映画。
子供の頃、何も夢中になれるものがなかった。友達と遊ぶこともあまりしなくて、家でゲームばかりして、飽きたらゴロゴロしていた。
そんなとき、すごく辛くなって、なんだか叫びたい気持ちになった。大人になった今、子供の頃に、何か大切なものに出会っておきたかったなぁと強く思う。
この映画は、そんな気持ちをくすぶってくる。
青い空に向かって手作りのロケットを飛ばすシーンは、僕はこの先ずっと忘れないだろう。
●評価●
4.1(Cinema Scape)
4.61(Yahoo!映画)
6.リトル・ダンサー(イギリス、2000年)
女性の方が体の線が細いから、繊細な動き――たとえばバレエとかじゃ、美しく見えるのは当然だろう。
だけど、だからといって、男がバレエをやっちゃいけないなんて誰が決めた?
音楽がある。音楽にはビートがある。ビートを体で刻む。うんうんと頷くだけじゃなくて、それだけじゃ我慢できなくて、体全体で、踊るように、舞うように、表現したくなったら、もう性別なんて関係ない。
子供の可能性は、大人の尺度で測れるものじゃない。
信じることで、それは少しずつ広がっていく。
●評価●
4.1(Cinema Scape)
4.61(Yahoo!映画)
7.冷たい熱帯魚(日本、2010年)
上記で挙げた映画とは、完全に真逆。
園子温監督の映画は、これと『愛のむきだし』で悩んだ。…けど、『愛のむきだし』は後半がヒューマンドラマになりすぎて、ダレたので、こっちにした。
『冷たい熱帯魚』は、疾走感溢れる映画だ。
リアリティのある暴力シーンや、派手なアクションシーンで、作品に疾走感を出す手法は、一般的にもよく使われている。
一方で『冷たい熱帯魚』における疾走感は、血だ。無表情で人間の体を解体する。それは憎いからじゃない。どこかへ運ぶためでもない。人間の体を解体しないと(透明にしないと)その人は『いなくならない』からだ。
園子温監督の映画には、空虚感が漂っている。それはバカバカしさと紙一重だ。この映画も、人間の体を解体しながらも、どこかバカバカしさが伝わってくる。だけど、それがおもしろい。
最後のシーンの爽快感は半端ない。だけどそれも、いわゆる勧善懲悪によるスカッと感じゃなくて、空虚感とバカバカしさが相まみえる不思議な爽快感だ。
この映画も、実話をモデルにしている。
『遠い空の向こうに』とは全然趣が違うけれど……。
●評価●
3.8(Cinema Scape)
3.64(Yahoo!映画)
他にも語りたい映画はたくさんあって(『インターステラー』とか、『ルビー・スパークス』とか、『丹下左膳餘話』とか、『キサラギ』とか、『田園に死す』とか、『ライフ・イズ・ビューティフル』とか、『チョコレート・ファイター』とか、『マルホランド・ドライブ』とか、『アメリ』とか、『それでもボクはやってない』とか、スタンリー・キューブリックの映画とか、内田けんじ監督とか、沖田修一監督とか……)、でも、とりあえず、ベストを選ぶならこの7つ! ってのに絞りました。
おもしろさは、僕は映画批評の素人中の素人だけど、その僕の折り紙つきです。この中のどれか一つでも、誰かの特別な一つになるといいなぁ。
……あ、今思い出したけど『アマデウス』入れ忘れたな。まぁ仕方ないや。