THE BEST TRACKS 2015 @夕暮航路

★★★10位★★★

"Hello,world!"

BUMP OF CHICKEN

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文句無しにかっこいい、BUMP OF CHICKENの新曲。

出だしの「ジャジャッ」からギターのブリッジミュートが続く緊張感のあるAメロと、突き抜けるようなサビの解放感が好き。

なぜかこのところのバンプは宇宙っぽい壮大な曲が多くて、それも好きなんだけど、4分くらいのサクッとしたロックが聴きたいなと思ってたところにこの新曲、で、この完成度だったから、すごく気に入ってしまった。

歌詞は相変わらずセンスの塊みたいな超クオリティで、ファンタジックで抽象的なんだけど、どこか現実世界に皮肉っぽい。でも根底にあるのは「生」に対する前向きな捉え方で、そこが好きだな。

ちなみにアニメ『血界戦線』のオープニング。

そしてWikipediaによれば、「Hello, world!」とは、プログラム言語を初めて習得する際に用いられる例題らしい。

2月には新しいアルバムも発売されるみたいで、楽しみだ。

 

★★★9位★★★

”Carolina"

Royal Headache

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2015年に知って、めちゃくちゃかっこいいなと思ったバンドの一つ。

どうやらオーストラリアのバンドらしい。

基本的に僕は、渋いおっさんが不器用に歌っているバンドが好きなので、Royal Headacheはかなりツボだった。

チバユウスケみたいながなり声なんだけど、メロディが切ないから、歌にも妙な寂しさがある。

うん、このメロディ、特にサビのメロディが本当に好き。

音作りや演奏は、パンクっぽいヴォーカルに反して、みずみずしく、Real Estateみたいな部分があって、シンプルで綺麗。

アルバムも出ていて、他の曲もかっこいいのがたくさん揃っている。

High

High

 

 

★★★8位★★★

”ソニックウェーヴ"

Theムッシュビ♂ト

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去年の今ぐらいに知り合った、大阪で活動する激情系J-POPミュージシャンTheムッシュビ♂トさんの新曲。

アイドルソングのような軽快さと、あまりにも「好き」の感情が強すぎる濃い歌詞に、ムッシュさんのヘタウマ、だけど味のあるヴォーカルが絡んで、不気味で不思議なかわいさと切なさを醸し出している。

ムッシュさんの曲は、メロディがすごく練られていて、Aメロからサビまで抜かりがない。理屈じゃなくて感覚的で、計算でやっている部分もたくさんあるだろうけれど、展開や構成の流麗さは持って生まれたセンスだろうな、って思う。

曲中で「つけてみそかけてみそ」の宣伝を取り入れるという遊び心もキュート。

最後のサビの「君が」の繰り返しにどうしても涙を浮かべてしまう。

新しいアルバムはまだ聴けていません。でも楽しみ!

 

★★★7位★★★

"Something Soon"

Car Seat Headrest

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2015年に知って、「めっちゃかっこええな」と思ったバンドその2。

なんか分かんないけど、何度もこの曲を聴いていた。

暗黒版のClap Your Hands Say Yeahとでも言おうか。ディストーションとリバーブがかかったヴォーカルに、どこか脳天気で、でも切なさのあるサビが好き。

特に2回めのサビの、若干Beach Boysっぽいコーラス。泣けてくる。

あと、最後らへんの「うぉ~うぉ~」言うところ。

アルバムも出ていて、全体的に聴くとPixiesっぽい。

他の曲も良いのたくさんあるけど、やはりこの曲を何度も聴いてしまう。

スルメ曲というやつだろうか……。

Teens of Style

Teens of Style

 

 

★★★6位★★★

"Easter / 復活祭"

ASIAN KUNG-FU GENERATION

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めちゃくちゃかっこいいよ、ゴッチ……。

なんの変化もない、完全なる見え見えのストレート、なのに古臭くなく、ありきたりじゃなく、むしろ新しい日本のロックの到来を思わせる曲。

アジカン史上もっともシンプルで、アジカン史上もっとも僕が気に入った曲。

今まで、どうしても厨ニっぽさがあって、さらにナンバガとかeastern youthとかの90年代邦ロックの影響下にもあって(音的にはオアシスとかだけど……)、かっこいいけど、いまいち垢抜けないなーって個人的に思ってた。

でも、この曲から、完全にオリジナリティを確立したと思う。

タイトルが示すように、新しいアジカンの復活であり再誕。

これからが実に楽しみ。

……ところで聴いてていつも思うんだけど、この曲奥田民生さんが歌っても絶対ハマると思うんだ。カバーしてほしい。

Wonder Future(初回生産限定盤)(DVD付)

Wonder Future(初回生産限定盤)(DVD付)

 

 

★★★5位★★★

"Empty Nesters"

Toro Y Moi

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この曲も本当にたくさん聴いたなぁ……。

Toro Y MoiのThe Beatlesっぽい、60年代の一番気持ちいいサウンドが特徴的な新曲。

この人、本当に耳に心地いい音作るよなぁ……。声も綺麗だし。

それから、時代の音楽にきちっとアジャストしてくる。

チルウェイヴな曲から、去年、一昨年あたりに流行ったアンビエントR&BHIPHOP)を経て、底抜けにハッピーで、だけどサイケデリックな今作へ。

真っ白い服を着て全速力で走るトロさんが好きです。

1月に来日するそうで、ライブにも行ってきます。

What For?

What For?

 

 

★★★4位★★★

"REALiTi"

Grimes

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ダークきゃりーぱみゅぱみゅとでも言おうか……。

いや全然ダークじゃない。というかダークさも持ちつつキュートさも兼ね備えているGrimesさんの新曲が個人的に4位。

この曲を聴いたとき、今までのチープでなんか軽い感じだったGrimesが、いろんなものを経験して吸収して、がっしりとしたキラーチューン作ってきたなぁ……って風に思った。

耳に馴染みやすいサビと、寂寥感のある都会っぽいメロディが好き。

Grimesの曲の中で、個人的に一番好きです。

こちらも1月に来日するようで、ライブ行ってきます。

あ、ちなみにアルバムだと結構アレンジされていて、そっちの方が好きです。

Art Angels

Art Angels

 

 

★★★3位★★★

"The Only Thing"

Sufjan Stevens

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何回聴いたか分かんないや、この曲……。

多分、2015年で一番聴いてる。

展開、すげーシンプルなんだよね。同じメロディの繰り返し。

だけど、この胸にこみ上げてくる切なさはなんなんだろうなー。本当にぐっとくる。特にサビ。Sufjanの歌声、美しすぎるよ……。

どうしても歌詞の意味が知りたくて、いろいろ調べたけど分かりませんでした。

でも、言葉じゃない。むしろ言葉で言い表せない。

素敵な曲。ただそれだけです。

Carrie & Lowell

Carrie & Lowell

 

 

★★★2位★★★

"Let It Happen"

Tame Impala

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2015年のテイムさんの新曲。

サイケデリックで、だけどものすごく濃密で奥の深いオルタナティブロックバンドな感じだったTame Impalaが、さらにこってりに、さらに複雑に、いやもうむしろ別次元にぶっとんじゃったかのようにプログレッシブでアグレッシブに……。

正直、前作があまりにもかっこ良すぎて、もう比べたくないんだけど、というか比べることができないんだけど、個人的な好みで言えば、Feels Like We Only Go Backwardsの方が好き……なんだけど! でも、この曲かっこよすぎる!!

ずんちゃっちゃちゃーらっちゃちゃー♪ の特徴的なリフに、リバーブの掛かったクラップ音が入るのがすげー好き。

あと、サビの部分で音がこもっていく感じも。

でも、一番好きなのは間奏。その部分がMVじゃカットされてんだ!

2015年、もうめっちゃくちゃ、目一杯たくさん聴いたなぁ……。7分47秒もあるのにね。

アルバムは当然、かっこいいよ。

Currents

Currents

 

 

さて、栄光の1位……を紹介する前に、「これも入れたかった!」ってやつを。

 

"街の底"

eastern youth

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これを入れないわけにはいくめぇ……。

街の底から、吉野さんの魂の叫び。ぐっと力が入るサビ、やっぱりかっこいい。

2015年、メンバーが脱退し(二宮さん……!)、解散の危機が訪れ、しかし新たに加入し(村岡さん……!)、激動の年を迎えていたeastern youth

いろいろあったけど、これからもついていきます。

 

"Pretty Pimpin"

 Kurt Vile

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The War on DrugsのギタリストだったKurt Vileさんの新曲。

最初聴いたとき、なんかSun Kil Moonっぽいな……と思ったんだけど、相変わらずの格好良さ。

正直、"Wakin On A Pretty Day"の方が好きで(ああいう、日本で言うと奥田民生っぽい、のーんびりとした雰囲気のダラダラした曲、好みなので)、あんまり聴いてなかったんだけど、たまーに聴きたくなる。で、振り返ってみたら結構聴いてた。

なんか映画の主題歌っぽい雰囲気あるよね。

 

"Sparks"

Beach House

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ドリームポップの火付け役、Beach Houseの新曲。

ノイジーなギターと不協和音のシンセに、不安定なボーカルが乗っかる。

けっしてポップとは言えないメロディだけど、一瞬の火花みたいに儚げで、不思議な切なさがある。

 

あと、DIIVとか、Neon Indianとか、Chromaticsとか、Destroyerとか、でんぱ組.incとかが入ってくるんだけど……

まぁ割愛して。

 

さて、皆さん、別におまたせもしていないと思いますが、発表いたします。 

 

2015年の個人的第一位は、

 

★★★1位★★★

"ふたつの世界"

くるり

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「Liberty&Gravity」の複雑怪奇なアンサンブル。「さよならリグレット­」のエレガントさ。「ワールズエンド・スーパーノヴァ」の電子音。「ばらの花」の胸キ­ュン度合い。「ワンダーフォーゲル」の多幸感。これら、全て兼ね備えた恐るべき、とん­でもない曲が完成!

……と、自ら説明文にあるように、まさにとんでもない曲だった。

この曲、本当に本当に本当に本当にお気に入りで、何度も何度も何度も何度もリピートして聴いていた。

正直、くるりはそこまで好きじゃない。というのも、くるりって、同時期に活躍していた僕の好きなミュージシャンの吉野さん(eastern youth)や向井さん(ナンバガ、ZAZEN)なんかに比べて、もっさりに見せかけて実はシュッとしてるというか。

不器用そうに見えて、なんでもスイスイこなしちゃうというか。

そういうイメージがあって、「好かん!」って感じで(今もそう思ってんだけど)、この曲だけは本当に、どうしても好きだ。

交わらないふたつの世界。過去と未来。昨日と明日。右と左。上と下。男の子と女の子。君と僕。

赤い糸で結ばれていても、けっして交わることなく、裏表でずっとずっと続いていく。

それは寂しいけれど、だけど、振り向いたらいつだってそばにいる。

明るくて楽しい歌。でも、切ない。寂しい。けれど生きることに、大好きな人に、明るい気持ちを見出さずにはいられない。

そんな曲。いろんなものが詰め込まれた素敵な音楽。

どう聴いてもサビが高野寛さんの"See You Again"なんだけどそんなことどうだっていい。

人生で大切な宝物になった曲です。この曲が生まれ、そして出会えたことに、たくさんの感謝を込めまして、2015年のTHE BEST TRACKSを締めくくりたいと思います。

ありがとうございました!!

そして来年も、たくさんの宝物に出会えるといいな。